(質問要旨)

2 府民生活を支える社会資本であるインフラの安全性について

本年10月に和歌山市の六十谷水管橋が崩落し、大規模な断水が発生した。日常生活への影響の大きさを含め、改めてインフラの維持管理の重要性を感じたが、府民生活を支える社会資本であるインフラの安全性に関し、次の諸点について、所見を伺いたい。                    (建設交通部長)

(1)社会経済を支える橋梁、トンネル等の交通インフラ及び安心・安全を守る河川等の防災施設について、老朽化対策の取組状況と府内市町村への支援状況はどうか。

(2)少子高齢・人口減少社会を迎え、全国的に技術者の確保が困難な中、インフラの適切な維持管理を行うため、効率よく施設を点検し、健全度を把握することが重要と考える。国は、こうした課題を解決するため、インフラの維持管理分野にデジタル・トランスフォーメーションを導入し、新しい技術を活用した効率化の取組を進めており、本府も同様に、新しい技術をインフラの維持管理に生かすべきと考えるがどうか。

(当日答弁)

インフラの老朽化対策についてでございます。

議員ご指摘のとおり、我が国では建設後50年以上経過する施設の割合が、今後急激に増加いたします。財源が限られる中、将来にわたってインフラの機能を確実に維持するためには、損傷が軽微な段階で予防的な修繕等を実施し、機能の保持・回復を図る「予防保全型維持管理」の考え方を導入し、補修や更新費用の縮減や平準化とともに、施設の長寿命化を図ることが重要です。

このため京都府では、平成29年に公共施設等管理方針を策定し、メンテナンスサイクルの確立と、これを確実に実行するための体制整備、さらには中長期を見据えたコスト管理を取組方針としたアセットマネジメントを実施しております。

まず、メンテナンスサイクルの確立については、各施設の特性に応じた点検と診断を行うこととしております。例えば、京都府が管理する255路線、約2,200kmの道路について、道路橋約2,200橋を対象に5年に1回目視により点検した上で健全性を診断しております。また、河川につきましても、377河川、堤防延長約3,700kmのうち158河川の重点管理区間約520kmを対象に毎年出水期前に同様の点検と診断をしております。

そして、それらの診断結果を踏まえ、長寿命化に向けた補修や修繕を計画的に実施しています。

また、こうした取組は市町村が管理する施設も含めて確実かつ効率的に実施していく必要があり、平成28年にメンテナンス体制の確保や土木・建築工事における発注者業務の支援、職員の技術力の向上などを目的として、京都技術サポートセンターを市町村と共同して設立したところです。本センターでは、これまでに希望のあった市町村から、道路橋の点検を約3,700橋受託するなどの支援を行うとともに、橋梁点検技術者資格の取得を目的とした技術講習会を開催しており、市町村からは、今後の継続した取組に大きな期待が寄せられているところでございます。

次に、インフラの維持管理における新技術の活用についてでございます。

今日、全国的に技術者の確保が難しく、施設の点検や健全性の診断においては、新技術を活用した生産性の向上が必要です。京都府におきましては、例えば、アセットマネジメントに関する包括協定を締結している京都大学と連携し、橋梁の損傷や進展をセンサにより自動的に把握するモニタリング技術等の実証実験を進めるとともに、今後、国や先端企業において開発が進められているAIを活用した損傷や変状の検出システムなどを実用段階で取り入れていくこととしております。

今後とも、産・学・公が連携し、進化したデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーションの取組を進め、インフラの効率的な維持管理に努めてまいります。