(質問要旨)

2 鴨川について

歴史、文化、水辺環境などあらゆる面において、府民や観光客から親しまれ、世界に誇るべき観光資源である鴨川に関し、次の諸点について、所見を伺いたい。

(1)昭和10年の洪水は、前年の室戸台風による風倒木が上流の橋を破壊し、四条大橋で堰き上げられたことで被害が拡大したが、昨年の台風21号による風倒木が、現在、上流域ではどのようになっているのか。

(2)水辺に親しむ空間として開放される中、他府県では同様の場所で水難事故が発生しているが、河床の状況の変化などを踏まえた安全管理をどのように進めているのか。

(3)河川敷の樹木は美しい情景を醸し出しているが、多くの樹木に手当が必要であり、暴風等による二次災害の原因にもなる中、風圧軽減型の景観剪定や植替えなど、緑の空間の長寿命化と言える先進的な取組によって、美しく安全な鴨川を次世代に引き継ぐことが重要と考えるが、取組方策はどうか。

(4)長く懸案であった西高瀬川と堀川に平時でも水を流すことについては、府市協調で検討を進めた結果、両河川に水が戻り、地元住民として驚きと喜びを感じた。鴨川流域や府下全域を見ると、生命・財産に関わる治水整備が優先される状況だが、せっかく戻った水を活かし、潤いのある都市の生活環境が増進される対策を府市協調で地元とともに進めることを要望する。

3 各種の政策を実行する財源について

超低金利の今こそ積極的な財政運営を推進し、府民の安心・安全の更なる確保

(答弁)建設交通部

鴨川上流域における風倒木についてでございます。
昨年の台風第21号では、京都市中京区で日最大瞬間風速39.4m/sという戦後最大の暴風が吹き荒れ、鴨川上流域の山間部においても倒木被害が発生いたしました。
河川内にあって、河道閉塞等を生じる恐れの高い倒木の撤去は、既に完了しておりますが、山間部の斜面には豪雨時に流出する恐れのある倒木が今も残されております。
このため、京都市など関係機関と連携して、山間部の倒木対策や、倒木が河川に流出した場合の流木対策を行なう必要があると考えているところでございます。
鴨川上流域で、特に被害の大きかった鞍馬、静市、雲ヶ畑については、森林所有者による復旧作業を国の造林事業を活用して支援しているほか、治山事業等の府営事業により撤去作業を進めているところでございます。
現在、復旧が必要な森林面積約94haのうち、これまでに約37haについて復旧に着手したところでございまして、令和5年度中には、大半の倒木が撤去できるよう取り組んでおります。
また、流木対策につきましては、今年度は、市街地の直上流にある柊野堰堤の堆積土砂の撤去を行うとともに、既存の砂防堰堤に流木止めを設置することを検討しているところでございます。
次に、鴨川の親水空間における安全管理についてでございます。
京都府では、出水期前の定期点検と出水後の点検を行い、堤防及び護岸の健全性、河床の深みなどの把握に努めるとともに、鴨川につきましては、1日1回の巡視により、遊歩道周辺の安全を確認するなど適切な維持管理に努めております。
また、小中学校への「出前語らい」での啓発や、毎年、夏休み前に水難事故防止啓発リーフレットの配布を行っているところでございます。
さらに、本年9月に発生いたしました大阪府での水難事故を受け、9月中に鴨川、高野川の約50箇所の親水施設周辺の安全性の点検を行い、その結果を踏まえて、今後、水難防止看板を設置することとしております。
今後とも、安全で親しみやすい鴨川の管理に努めて参ります。
次に、鴨川の樹木の管理についてでございます。
鴨川・高野川では、毎年、延長約11kmの区間におきまして、定期的な点検を行い、遊歩道の通行等に支障がある樹木の枝切り、樹勢の衰えた樹木への施肥や支柱の設置、老朽木の伐採などを実施しております。さらに、昨年の台風第21号被害を踏まえた樹木調査に基づき、倒木や枝等が落下する恐れのある危険木の剪定、伐採などに順次取り組んでいるところでございます。
また、鴨川公園の葵地区におきましては、今年度から園路や広場の整備に併せて、樹木の伐採、剪定を実施し、良好な景観の再生に取り組むこととしております。
しかしながら、鴨川の景観を構成している樹木には、樹齢50年以上の巨木化したものが多く、台風等による倒木や立ち枯れにより、急激に景観に変化が生じる可能性があり、議員御指摘のとおり、工夫した剪定による樹木管理と計画的な植替え等により次世代に景観を引き継ぐことが必要であると考えているところでございます。
樹木が醸し出す美しい鴨川の景観を継承していくためには、時間をかけて丁寧に、こうした取組を進める必要があることに留意しつつ、葵地区での成果を確かめながら、計画的な樹木管理に努めてまいります。