(質問要旨)

2 ふるさと納税と地域振興について

ふるさとの納税と地域振興に関し、次の諸点について、知事の所見を伺いたい。

 

(1)ふるさと納税の返礼品として、海の京都エリアの北部7市町への寄附額に応じて発行される電子クーポンで、エリア内の加盟店舗で利用可能な「海の京都コイン」について、現在の実績とこれまでに得られた知見や苦労した点、成功していると考える点はどうか。また、今後の展開はどうか。

 

(2)地域内やコミュニティ内で循環する通貨については、デジタル化の進歩により新たなステージを迎えていると考えるが、本府としてその効用や問題点等をどのように把握し、今後の地域振興につなげていくのか。

 

(3)個人版ふるさと納税については、実施団体の中には実質赤字になる自治体もあり、課題が指摘される中、京都市では令和4年度の寄附額が100億円に迫る勢いで、2年連続で市民税の減収を上回る黒字になると聞くが、本府における個人版ふるさと納税の現状と今後の展開はどうか。

 

(4)企業版ふるさと納税については、令和2年度の税制改正で税額控除割合の引上げや手続きの簡素化等の見直しがあり、本府においてもeスポーツの振興やARTISTS’FAIR KYOTO開催に対して応援を受けていると聞くが、本府における企業版ふるさと納税の現状と今後の展開についてはどうか

(答弁)(1)(2)政策企画部

「海の京都コイン」など電子商品券を活用した取組と今後の展望についてでございます。

京都府北部7市町が共同で取り組む「海の京都コイン」は、ふるさと納税の共通返礼品として発行している電子商品券であり、旅行者が旅先などでふるさと納税を行うことで即時に発行され、地域の飲食店、宿泊施設などで利用ができます。

昨年11月に取組を開始したところでございますが、現在、7市町合計で、約150の飲食店や宿泊施設などで利用が可能で、この仕組みを活用した寄付は、1月22日現在ですが、約150万円となっております。

「海の京都コイン」の利用拡大を図るためには、まずは、利用可能施設の拡大や、旅行者などへのPR強化が必要であり、参加施設の掘り起こしとともに、e-Bikeや海上タクシーなど「海の京都コイン」を使った観光モデルコースの策定等にも取り組んでいるところでございます。

また、訪問地域への応援につながるというふるさと納税の趣旨や寄附金控除のメリット、「海の京都コイン」の利用方法などを、店頭で旅行者に対して丁寧に説明している施設での寄付が多くなっていることから、参加施設への研修などを実施し、参加施設の説明力・営業力の向上にも取り組んでいるところでございます。

「海の京都コイン」に関する説明をきっかけとして、旅行者と地域の事業者のコミュニケーションの充実を図り、繰り返し地域に訪れていただくことにも繋げてまいりたいと考えております。

さらに、従来から、海の京都DMOでは、顧客データベースを活用したマーケティングを行っておりますが、「海の京都コイン」の利用履歴等も活用することで、その充実・強化にも取り組んでまいりたいと考えております。
議員ご指摘のとおり、今後、社会のデジタル化の進展に伴い、電子商品券の普及拡大が見込まれますが、このような仕組みには、地域の消費を増やす直接的な効果が期待される一方で、運用に一定のコストも発生するため、運用の継続が可能となるだけの利用規模を確保することが課題となります。

京都府としては、引き続き、市町村や地域の事業者と連携し、来訪者、地域の事業者の双方にとって魅力のある仕組みを構築することで、「海の京都コイン」を含めた電子商品券を有効に活用し、地域の活性化を目指してまいりたいと考えております。

(答弁)(3)総務部

次に、個人版ふるさと納税についてでございます。

京都府における個人のふるさと納税につきましては、文化財保護をはじめ、京都ならではの事業を掲げ、京都ゆかりの方、京都を応援いただける方から寄附をいただいているところでございます。

しかしながら、京都府では、個人のふるさと納税による寄附の受入額を、府民税の控除額が大幅に上回る状況が続いております。
恒常的に収支不足が生じている厳しい財政状況に加え、今後、長引くコロナ禍で行われてきた国からの手厚い財源手当も、社会経済活動の正常化に伴い、期待しにくくなる中、「あたたかい京都づくり」に向けて改定した総合計画に掲げた各種の施策を着実に推進していくためには、京都府自らの努力によって必要な財源の一部を確保することが重要な課題となっております。

また、府内市町村における状況を見ると、ふるさと納税による寄附の受入額に極めて大きな差が生じております。
こうした状況を踏まえ、京都府といたしましても、ふるさと納税制度の趣旨を守りつつ、ふるさと納税の活用方策として、新たにどのような取組ができるのか、検討してまいりたいと考えております。

(答弁)(4)政策企画部

次に、企業版ふるさと納税についてでございます。

京都府では、平成28年の企業版ふるさと納税制度の創設以降これまで、延べ79社から計3億6千万円の寄附をいただいてきたところでございます。

特に、議員ご指摘のとおり、令和2年度の税制改正において制度の拡充が図られたことにより、令和2年から4年までの3年間で延べ66社から計3億4千万円の寄附をいただくなど、広がりを見せつつあります。
いただいた寄附につきましては、国際的なアート展「Art Collaboration Kyoto」や「アーティストフェア京都」を開催し、国内外の美術関係者と京都の作家とのマッチングなどにより作家のステップアップに繋げていく取組や、京都スタジアムを活用した、ニュースポーツ・eスポーツの大規模大会の開催や人材の育成につなげる取組、「子育て環境日本一」に向けた子育てにやさしい風土づくり、まちづくり、職場づくりの取組など、地方創生に資する取組に活用しているところでございます。

今後の展開につきまして、改定した総合計画においては、令和5年から8年までの4年間で、計4億円の寄附をいただくという目標を掲げております。
この目標の達成に向け、魅力的な事業を増やしますとともに、トップセールスをはじめとする企業への働きかけや、寄附活用事業のPRの強化などを行うことにより、さらに多くの企業の皆様から応援をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。